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やまないキス

 ──………… 「ん、んん……っ」  かれこれ何分経ったか。分からないけど、俺は未だに桜和の膝の上から解放されずにいた。  飽きることなく降り注ぎ続けるキスの嵐は止むことを知らなくて、意識と理性がとろとろと溶けていく。  最初は、止めないと。と、早くCDROMを見つけないと。と思っていた。  でも、止まない桜和のキスの効果は絶大で。  数分後にはすっかり俺から抵抗の意志を奪ってしまった。  何度も何度も触れる唇がもう痛くて。上を向き続ける頭を支える首がもう痛くて。なのに止めてほしくなくて。  意識がふわふわする。 「………神楽」 「ん、ぅ………」 「もう一回していい?」 「だ、だめ……今、は、もう」  桜和の制服を握っていた手を自分の口に持ってきて両手で口を隠す。これ以上は、もうまずい。 「……どうして?」 「風見先生の、探さないとだろ……それに」 「それに?」 「………何でもない。いいから、早く……」  桜和の膝から這って下りようとしたら、腕を掴まれて膝の上に逆戻り。今度は更に強く腕の中に拘束されて逃げられない。 「言って」 「……っひぅ……っ」  ぴちゃ、とわざと大きな音を立てて耳を舐めてくる桜和に、身を震わす。 「………か、過剰、摂取って……言うか……こんな一気に進むと、心臓が持たなくて……その……」  最近、俺の日常の糖度が高い……胸焼けしそう。 「……ふふ」  桜和が肩を震わせた。……おい、笑ってるだろお前。  ──ちゅっ 「……っ」 「じゃあ今日はこれで勘弁してあげる」  俺の額にキスしてパッと俺を解放してくれた。  ……『今日〝は〟』って言われたけど。超『イイ笑顔』で。 「さて、早く見つけようか」 「……お前な……」 「抵抗しなかった神楽も共犯だよねー」 「!?」  へらっと笑いながら桜和は再び棚を漁り始めた。

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