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きっといいこと

〈神楽side〉  一年 閑が初めて生徒会室を訪れてから週をまたぎ、4日。  あれだけギスギスしていた二人の仲はあっという間に解決したらしい。 「ご迷惑、おかけしました」  深々と頭を下げる月詠。朝一で生徒会メンバーを呼び寄せて、生徒会室で起きた出来事。  きちんと直接謝るところが律儀で、月詠らしいと思う。 「いや、大丈夫だけど……お前のところ、ちゃんと落ち着いたんだよな?」 「それについては心配無用だよ神楽〜」  ふふふ、と嗣川が笑って言った。 「昨日はうちに仲直りの声がかすかに聞こえてくるくらい仲良しさんだったから」 「え、は!? 聞こえてた!? 嘘だろ……っ」 「嘘じゃないでーすバッチリ聞こえたよ」  その言葉に真っ青にして口にてを当てる月詠の横に行くと、嗣川が小声で何か囁き……月詠がすごい勢いで腰に手を当て、顔を真っ赤にした。 「???」 「ふーん……こっちも負けてられないねぇ、神楽?」 「……嫌な予感しかしないが……何のことだ?」 「神楽生徒会長は知らなくていいんじゃないデスかね。あ、ウサちゃんもデスよー」  クエスチョンマークを浮かべているのは俺と鵜野だけで、あとは皆、したり顔だったり、不敵な笑みだったり、呆れ顔だったり、赤面していたりで、蚊帳の外のような気がして納得がいかなかった。  ……まぁ、月詠の隈が少し薄くなって、口数が増えたから、きっといいことではあったんだろう。

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