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ざっくり言うと
「──ざっくり言うと、こういうことだね」
どういうことだよ。
目の前の年上たちと、もう少しマトモに会話がしたい。
「いやァ、カグラくん愛されてるねェ……どんなに大事に囲いたくても当の本人がこんなんじゃ桜和も心配になるよねェ」
「そうだね、多少なりとも嫌な目に遭わされてる俺たちの誘いにホイホイ応じてくれるんだから」
「ていうか和音センパイ相変わらず襟足長いっすね〜」
「真似してる閑に言われたくないなぁ」
「真似してるこっちの身になってくださいって話っすよォ」
初めて一年さんを見たときはなんとなく和音さんに似てると思ったけど、ダメだ、並んでるところ見たらやっぱり異色だこの二人……!
年の末──明日に大晦日を控えた12月30日だ──のファミレスで頭を抱える。外はもう薄暗い。目の前の黒とオレンジのコントラストが眩しい。
傍目に見れば、黒とオレンジと白の頭が三つ、一堂に会した、更に異色な光景なのだろう。こんな『駄目な大人』×2みたいなのと一緒にされてると思うと気が重い。
……それにしても、髪型だけじゃなくて服装まで似てるな……
「カグラくん、そんな遠い目して俺たちのこと見ないでよォ。おごってあげるから元気出して」
「結構です」
目の前のオレンジジュースを飲む。正直言って喉が渇いてるわけじゃないし、オレンジジュースなんて飲んだらその分喉が渇く。だけど飲んでなきゃ間が持たない。それほどまでにこの二人は苦手だ。
和音さんはよく分からない揺さぶりかけてくるし。
一年さんは多分俺の体質について気づいてるし。
ほんっと…………今すぐ帰りたい。
「やつれてるね〜神楽くん」
「……そうですね」
「あれ、『誰のせいだと思ってるんですか』とか言わないんだ」
「疲れました」
「えー、早い はやーい。早いよォカグラくん」
何でこんなことになったのか。桜和がこの二人に対してあんな風にしかめっ面をするのに少し共感できそうだ。
体力の消耗が半端じゃない。おかしい、ただ会話してるだけなのになんでこんなに疲れるんだ。
「……ていうか、ざっくり過ぎてさっきのよく解らなかったんですけど」
「あれ、神楽くんは国語苦手かな?」
あなたが苦手なんじゃないですか──とは、言わないでおく。
いちいち突っかかっても何も始まらないことは、織り込み済みだ。
「じゃあ、国語が苦手な俺でもわかるように、もう少し整理して、詳しく話してください」
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