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第一章・2
自分のルックスには、軽く自信を持っている竜也だ。
黒い髪は、優しい雰囲気のある、緩めのツイストツーブロック。
整った顔立ちに、アルファ特有の恵まれた体格。
いい具合に低いボイスも、密かに自慢に思っている。
恋人には不自由したことのない竜也だったが、30歳が近づく今日この頃では、実家の母がせっつくようになってきた。
『誰かいい人、いないの? 遊んでばかりじゃ、ダメよ!』
そろそろ結婚を視野に、お付き合いするようにしなさい。
そう、母は言う。
それも大事とは思いつつも、竜也は相席になった少年に声を掛けた。
まだ10代に見えるこの子は、結婚の対象からは外れている、と感じながらも、声を掛けずにはいられなかった。
それほど、少年は魅力的だった。
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