7 / 107
第一章・7
通話を終え、朋はスマホのスケジュールにチェックを入れた。
「今度の日曜日、だね」
少し、目が冴えてしまった。
来栖 正吾は、この地方で最も勢力の強い不動産業を営む、クルス・不動産の社長だ。
そして、朋にマンションを買い与えて、愛人として囲っている男でもあった。
「そう言えば、あの人。クルス・不動産に勤めてる、って言ってたな」
朋の脳裏に、竜也の笑顔が浮かんだ。
「おかしな人、だな……」
それでも彼の笑顔を思い出すと、自然にこちらにも笑みが生まれる。
「おやすみなさい、竜也さん。ケーキ、ごちそうさま……」
笑顔のまま、朋は眠りに落ちて行った。
良い夢が、見られそうだった。
ともだちにシェアしよう!