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第一章・7

 通話を終え、朋はスマホのスケジュールにチェックを入れた。 「今度の日曜日、だね」  少し、目が冴えてしまった。  来栖 正吾は、この地方で最も勢力の強い不動産業を営む、クルス・不動産の社長だ。  そして、朋にマンションを買い与えて、愛人として囲っている男でもあった。 「そう言えば、あの人。クルス・不動産に勤めてる、って言ってたな」  朋の脳裏に、竜也の笑顔が浮かんだ。 「おかしな人、だな……」  それでも彼の笑顔を思い出すと、自然にこちらにも笑みが生まれる。 「おやすみなさい、竜也さん。ケーキ、ごちそうさま……」  笑顔のまま、朋は眠りに落ちて行った。  良い夢が、見られそうだった。

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