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第二章・3
意外だった。
朋は初めて、竜也に興味を持った。
「国語とか、好きだったんですか?」
「うん。テストの点数は取れなかったけど、教科書の物語や詩は好きだったよ」
あと、読書感想文も苦手だった、と竜也は笑った。
「……僕と同じだ」
「それは嬉しいな」
気が付くと、朋は竜也が素知らぬ顔で同じ席に着くことを、許していた。
時折スマホから目を離し、彼の言葉に笑顔を返していた。
「じゃあ、そろそろ行こうか」
「どこへですか?」
「嫌だなあ。忘れちゃったの?」
「あ。水族館……」
そろそろ、9時だ。
オープンの時刻だ。
さほど気乗りはしなかったが、この人と一緒だと楽しいかもしれない。
そう考えるほど、朋は少しずつ竜也に心を開いていた。
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