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第二章・5

「何か、お土産を買おう。何がいい? 買ってあげるよ」 「いいですよ、別に」  水族館の出口付近に展開しているショップに、二人は来ていた。  店内は賑やかに飾り立てられ、可愛いぬいぐるみや美味しそうなクッキーなどがひしめいている。  竜也はその中から、大きなチンアナゴの抱き枕を抱え上げた。 「これとか! どう?」 「結構です!」  では、と二人はくじを引くことにした。  透明のドーム内で、エアーに巻かれてくるくる回っている、三角くじだ。 「これだ!」  気合は充分の竜也だったが、結果は3等賞。  一番小さな、イルカのぬいぐるみだった。  適当に引いた朋は、2等賞。  竜也のものよりやや大きめの、カメのぬいぐるみだ。 「無欲の勝利か」 「困ったな。こんなに大きな子」  これでは、部屋に置いておくと目立つ。  パトロンの正吾に、何か訊かれるかもしれない。  だが捨てるわけにもいかず、朋はカメを抱いてマンションへ帰った。  ふかふかの抱き心地は、竜也がつないだ手のように温かだった。

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