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第四章 突然の父親

『もしもし。竜也? 今、いい?』  久しぶりに、竜也の母・理紗(りさ)が電話を寄こしてきた。  母一人、子ひとり。  竜也は、父を知らずに育った。  母の稼ぎだけでは家計が苦しかろうと、高校三年生の時に、進学を諦めると打ち明けたところ。 『いいのよ。父さんからは、養育費ちゃんともらってるんだから』  そんな母の言葉に、竜也は初めて父がこの世に生きていることを、知ったのだ。  あっけらかんとした母に感謝しつつも、父にはそれきり触れずに過ごしてきた。  その存在を掘り起こすことは、母を苦しめるのではないか。  そう、気を回して、過ごした。  ところが今になって、母が電話で突然に告げてきた。 『竜也。父さんに、会ってみない?』  竜也は驚いて、スマホを持ち直していた。

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