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第四章・3
『今度の祝日に。そう、月曜日。ホテル・ルーナのエントランスカフェで、待ってるから』
「ちょっと待ってよ。勝手に決められても!」
『じゃあ、竜也が決める?』
「……それでいいです」
通話を終えた後、竜也はしばらく放心していた。
「父さん……、だって?」
どんな人だろう。
あの母が愛した男だ。
妙な人間ではない、とは思うが……。
「ああ、ダメだ。気持ちの整理がつかない」
竜也は、マンションを飛び出した。
外の空気に触れて、正気を取り戻そうとした。
コーヒーの香りを吸って、頭を冷やそうと考えた。
気が付くと、カフェ・白樺のドアを開けていた。
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