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第四章・5
立派に育って、ちゃんと働いている。
そんな今の姿を父に明かし、安心させてやらなくては。
そう、竜也は考えた。
そこで、ふと頭をもたげたアイデアが。
「あの、さ。朋くん」
「何ですか?」
「今度の祝日、ヒマ?」
「時間なら、ありますけど」
良かったら、会えないか。
そんな風に、竜也は朋に持ち掛けた。
「私の父に、一緒に会って欲しいんだ」
「怖いんですか?」
「怖くはないよ。母さんもいるし」
ただ、と竜也は両手をコーヒーカップで温めた。
「父さんを、安心させてあげたいんだ。素敵なパートナーもいます、って」
「は? 誰が? 誰の?」
「朋くん。私のパートナーということにして、ついてきて欲しいんだ」
朋は、あんぐりと口を開けた。
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