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第四章・6
「パートナーの、ふりだけしててくれればいいから!」
「でも!」
「じゃあ、こうしよう。婚約者の、ふり!」
「だけど!」
「恋人の、ふり。これで、どうかな!?」
竜也の表情は、必死だ。
とても、朋をからかって遊んでいる風には見えない。
「時給も、払うから!」
「いりません。……ふり、だけですよ?」
「ありがとう!」
竜也の熱意に、朋は折れた。
その父だと言う男の境遇も、可哀想だと思ったのだ。
(息子さんが安泰、というのなら。だったら、心安らかに逝けるかもしれないし)
竜也は竜也で、心拍数を上げていた。
これで舞台は、整った。
(私の父さん。どんな人なんだろう)
それは、月曜日になれば解る。
期待半分、不安半分。
そんな心地の、竜也だった。
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