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第五章 社長と父と、愛人と婚約者と。
月曜日。
定刻の30分も前に、竜也は朋と一緒に待ち合わせのホテルへ来ていた。
「少し、早かったかな」
「かなり、早いです」
まったく、と朋は竜也の脇腹を肘で小突いた。
照れ笑いも、心なしか引き攣る竜也だ。
「緊張してきた」
「初めの挨拶、考えてた方がいいかもしれませんよ?」
「そうか。そうだな」
だが、何と言おうか。
「これまで、ありがとう。父さん」
「初めて、会うんでしょう?」
「じゃあ。初めまして、父さん」
「送金は、してくれてたんでしょう?」
頭を抱えてしまう竜也の耳に、聞きなれた声が入って来た。
「あれ? 早いのね、竜也」
母・理沙が到着したのだ。
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