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第五章・3

 竜也に、朋に、正吾。  三者三様の気まずい立ち位置に風を通したのは、理紗だった。 「まずは、掛けましょう。私、喉が渇いちゃった」  ぎこちなく席に着き、それぞれが飲み物をオーダーする。  人心地着いた頃に、理紗は正吾に向かってこぼし始めた。 「全く、正吾さん。相変わらず、お盛んね。こんな若い子と、愛し合ってるなんて」 「いや。そ、それは……」 「正妻さんには、内緒にしてるわよね?」 「それは抜かりない」 「でも、きっとバレてるわ。あの人、勘が鋭いから」 「そう言うなよ。それより、どうして竜也が朋をここに連れてきているんだ?」  突然に話を振られた竜也は、固まった。  どうしよう。  元はと言えば、父を安心させるために、恋人のふりをしてもらうはずだった、朋。  まさか、その父の愛人だったとは……!  とっさに喋れない竜也に代わって、朋が口を開いた。 「僕、竜也さんと、お付き合いしてるんです」 「えっ!?」  一番声が大きかったのは、理紗だった。

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