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第五章・4

 目を円くして朋を見た後、理紗は素早く竜也の方を向いた。 「竜也、本当!?」 「え? あ、まあ。うん……」  もごもごと返事をし、曖昧にうなずく竜也を確認すると、理紗は向かいの席に座る朋に、身を乗り出した。 「よかったら竜也と。結婚を前提としたお付き合いを、してくれない?」 「え」 「私と同居して、なんて言わないから。ね? そうして」 「えっと」 「新築、建ててあげるから。お願い」 「んんん……」  理紗の猛攻に戸惑う朋の前に、竜也は体を乗り出してかばった。 「母さん! 朋くんが、困ってるだろう?」  そこに、落ち着いた低い声が割って入った。 「私も、二人の結婚に賛成だ」 「父さん!?」 「私は、じきにいなくなる。その時の朋を思うと、心配だった」  だが、と正吾は両腕を組んだ。 「竜也が一緒となると、安心だ。これで、心置きなく死ねる」  両親にぐいぐい押されて、竜也は困り果てた。  軽い気持ちの嘘が、ここまで発展してしまうとは!

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