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第五章・5

 追い詰められた竜也が、本当のことを打ち明けようかと思い始めた時、隣の朋がちらりとこちらを見た。  そして、静かに言った。 「解りました。僕、竜也さんと結婚を前提に、お付き合いします」 「と、朋くん!?」 「いいでしょう? 竜也さん」 「え、えぇえ?」  理紗と正吾は、手を取り合って満面の笑みで喜んでいる。  ただ、その喜びの輪のただなかにいるはずの朋は、うつむき加減だ。  竜也は、そんな彼が心配になった。  表情の見えない顔を覗き込み、小さな声で呼びかけた。 「大丈夫? 本当に、いいの?」  すると朋は、少しだけ竜也の方を向いてくれた。  そして、うなずいた。 「いいですよ」  その頬は、うっすらと赤みを帯びている。  唇はほんのり上を向いていて、笑顔だ。  竜也の心に、ようやく安堵と歓喜が広がってきた。 (朋くんと。結婚を前提に……、お付き合い!)  初めて味わう興奮に、ひたった。

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