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第六章・5
「では。竜也さんが変態でないかどうか、確かめたいと思います」
ベッドの上で、そんな言葉を真顔で語る朋。
竜也はもう、あたふたしなかった。
ただ、朋の顔に沿って手のひらを当てた。
「朋くん」
「朋、でいいです」
「じゃあ、朋」
そして、その頬をそっと撫でた。
「あまり急いで、私のことを好きになろうなんて、思わなくていいから」
は、と朋の瞳が、少し見開かれた。
「父さんの代わりでも、いいから。だから」
だから。
「だから、私を。君の傍にいさせて」
「竜也さん……」
大きな瞳が、潤む。
ぽろりと、涙が一粒こぼれた。
「ずるいです、竜也さん。ずるい……」
「えっ?」
「そんなに優しいの、とてもずるいです……」
震える朋の肩を、竜也はそっと抱いた。
湯上りだというのに、肉の薄い肌は冷たい。
彼の体を引き寄せ、竜也は温めるように抱きしめた。
自分のぬくもりを分け与えて、温め続けた。
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