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第八章・2
『十和子が傍にいると、いろいろとうるさいんだ。タバコは吸うな、酒は飲むな、とか』
「心配してくれてるんだよ、父さんを」
『それはそうと。明日にでも会いたいんだが、どうだ?』
「急だね。有給、取れるかな」
無理はしなくてもいい、と正吾は弱腰だ。
その言葉に、竜也はすぐに判断した。
すでに余命の少ない父に会う機会は、いくらあってもいい。
「行くよ、面会に」
『そうか! 嬉しいな。良かったら、朋も連れて来てくれないか?』
「もちろんだよ」
『待ってるぞ』
時刻を決めて、竜也は通話を終えた。
朋にこのことを早く伝えたかったが、先ほど正吾に言ったように、今は勤務中だ。
「昼休みにでも、電話しよう」
そう決めて、とっさに駆け込んだ給湯室から出て行った。
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