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第九章・4
「誰だろう」
朋は、防犯カメラのモニターを見た。
そこには、喪服の理紗が立っている。
しかし、さらにその後方に、スーツを着た男が二人控えていた。
「お母さん。どうしたんですか?」
『ごめんね、朋くん。マンションの場所、こいつらに教えちゃった』
忌々し気な理紗の声だが、男たちは深々と頭を下げた。
『風野 竜也さん、そこにおいでですね?』
『少し、お話をしたいのですが』
朋は驚いて、竜也の方を見た。
「誰? 母さん?」
「そうなんだけど、知らない男の人が二人いて。竜也さんと、お話がしたい、って」
竜也は朋と位置を代わって、モニターを見た。
見知らぬ、顔だ。
「どちら様ですか?」
『風野 竜也さんですね? 来栖社長の件で、お話ししたいことがあります』
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