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第十章・3

「朋、先に着替えて。私は母さんが心配だから、ここにいるよ」 「はい。竜也さん、大丈夫ですか?」  うん、とうなずき、竜也は朋の肩を抱いた。 「朋は、私の大切なパートナーです。彼も一緒に葬儀に出ても、構いませんね?」  男たちは顔を見合わせ、小声で何かやり取りしていたが、返事は了解だった。 「承知しました」 「どうぞ、朋さんも」  別室に消えた朋の姿を見届けた竜也は、改めて理紗に問うた。 「でも、母さん。私は、父さんの何に当たるんだろう。庶子?」 「ちゃんとした、父さんの子よ。正吾さんは、あなたを認知してくれたから」  だから、戸籍にも名前があるし、養育費もきちんと送金してくれた。 「ただ今回の場合で面倒なのは、おかげで相続人にもなっちゃった、ってこと」  莫大な遺産に、広大な不動産。  これらは法律にのっとって、竜也にも相続されるのだ。  おまけに、跡目争いに巻き込まれつつあるが。

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