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第十一章 誓い
竜也と朋、そして理紗が通された和室は、とても広く快適だった。
清潔な簡易キッチンやバスルームが、ちゃんと整っている。
座卓には軽食が用意されており、熱い湯もポットに詰めてあった。
「朋、大丈夫か? 少し、横になった方がいい」
「ごめんなさい。取り乱して」
服を緩めて少し楽になったのか、朋の顔は赤みを取り戻しつつあった。
「朋くん。お風呂も入れるわよ。体、温めたら?」
「ありがとうございます。でも、もう大丈夫です」
竜也と理紗の気遣いが、朋にはこの上なく嬉しかった。
(正吾さんは僕に、こんなに温かな人を遺してくれた)
ずっと独りぼっちで、気を張って生きて来た、朋。
硬直していた心を解きほぐしていったのは、竜也の愛と理紗の明るさだった。
涙をぬぐい、竜也が淹れてくれたお茶を飲むころには、朋は落ち着きを取り戻していた。
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