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第十一章・2

「竜也さん。祭壇の方へ戻らなくてもいいですか?」 「いいさ、ゆっくりしよう。またあの二人組がやって来たら、その時に考えるよ」  少しでも長く朋を休ませようと、竜也は気楽にそう言った。  自分だけでも父の傍へいた方がいいのか、とも考えたが、朋と理紗の二人だけにするのは、心配だった。  そんな折、ドアをノックする音が。 「まさか」  理紗が、嫌そうな声を吐く。  果たして現れたのは、あのいつもの男二人だった。 「ご気分は、いかがですか?」 「医師を、お呼びしましょうか」  しかし今度は、もう一人男が加わっていた。 「手荒な真似をして、申し訳ございませんでした」  明らかに、他の二人より格上に見える、その風貌。  年齢は、正吾に近いように思われた。  長身で、がっしりした体格に、端正な顔立ち。  手首に着けた数珠は、高価な琥珀だ。  アルファ男性の持つ独特のオーラに、気圧されるようだ。 「私は、秋山 桔平(あきやま きっぺい)と言います」  その顔に、氏名に、竜也は覚えがあった。 「……秋山副社長、ですか?」 「さすが、来栖社長の息子さんだ。主任レベルの役職でも、本社トップの顔をちゃんと覚えておられる」  秋山は、ずいと部屋の中へ入って来た。

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