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第十一章・4

「いや、待ってください。私はこの春、ようやく主任になったくらいの人間で!」 「サポートは、この私がいたします。ぜひ、あなたが代表取締役に!」  真顔の秋山は、続けた。 「十和子さまの御子息・勇生さまは、肩書こそ専務取締役ではありますが、まともに仕事をなさらないのです」  遊び人の勇生を、秋山は嘆いた。 「また、十和子さまは、勇生さまがトップに立てば、社を組として。来栖組として、再び極道の看板を上げるつもりでおられます」  野心家の十和子を、秋山は憂えた。 「これらを解決するのは、竜也さん。あなたの力が必要です」 「……少し、考えさせてください」  朋のマンションで、二人組の男たちによって事前に知らされていたとはいえ、ここまで具体化しているとは。  秋山たちが退室した後、竜也は大きなため息をついた。 「大ごとになって来たなぁ」 「竜也さん……」  朋が、傍に寄って来る。 「平気平気。何とかなるさ」  朋を心配させまいと、竜也は笑顔を見せた。 (何があっても、朋がこうして傍にいてくれれば、乗り越えられる)  それは、この三ヶ月で育んできた、確信だった。  

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