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第十二章・6
しんみりとなってしまった二人に、理紗は明るく振舞った。
「あなたたち、一緒にお風呂使ったら? その方が、時短になるわよ?」
「母さん! 冗談やめてよ!」
笑う理紗だが、その目は赤くなっている。
浴室で一人になった時に、泣いたに違いないのだ。
竜也も朋も、それに気付いていた。
気付いていたが、何も言わなかった。
きっと、私も。
きっと、僕も。
湯上りには、同じように目を赤くしているだろうから。
さよなら、父さん。
さようなら、正吾さん。
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