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第十四章・2
「今現在ある、株式会社クルス・不動産を二社に分け、それぞれの代表取締役に、来栖 勇生さんと、風野 竜也さんを任命します」
何と、と会場の全員が声を上げた。
それは当人たちも同じことだったが、二人の反応は異なっていた。
竜也は落胆して頭を抱え、勇生は憤慨して歯ぎしりをした。
「母さん。面倒なことになったよ」
「お母さま! 俺は納得できません!」
そしてその母親たちも、彼らに声を掛けた。
「竜也。ここまで来たら、やってみなさい!」
「勇生さん。このままでは、済ませませんよ」
特に十和子は、勇生に何やら耳打ちをした。
それを聞いた彼は、途端に悪い笑みをこぼした。
「何、それ。おもしろそう」
「そうでしょう?」
十和子は、勇生に、朋の身柄を拘束していることを告げたのだ。
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