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第十四章・4

 医務室に、確かに医師はいた。  だがそれは、理紗に声を掛けてきた白衣の男とは別人だった。 「訊ねたら、今夜はまだ誰も医務室には来ていない、って言うのよ」 「じゃあ、朋は。一体、どこに!?」  そこへ、勇生が現れた。  手をポケットに入れたまま、ぶらりと。 「社長就任おめでとう。お兄様」 「勇生くん」  祝いの言葉とは裏腹に、鋭い目つきの勇生だ。 「だが、これで終わると思うなよ?」 「どういう意味だ」 「俺は、欲張りなんだ。仲良く半分こ、だなんて、まっぴらごめんさ」  全てを、この手に入れてやる。  そう言い残し、彼は去って行った。  不吉な勇生の存在、そして捨て台詞だったが、今はそれどころではない。 「母さん。朋を、探さないと」 「私、フロントに確認してくるわ」  秋山も動き出し、朋の捜索が始まった。

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