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第十五章・2
ホテル内には、要所に防犯カメラが設置してある。
それに、竜也は目を付けた。
「私の連れが、行方不明なんです。カメラに、映っているかもしれません」
データを、見せて欲しい、と竜也はフロントに申し出た。
だがしかし。
「他のお客様のプライバシー保護のため、お見せするわけにはいきません」
全く持って正論なのだが、竜也は粘った。
「誘拐の線もあるんです。どうか、お願いします!」
誘拐、と聞いて、ホテル側も驚いた。
「では、警察に届け出を。捜査に協力する、という形であれば、お見せできます」
うん、と竜也はうなずき、理紗と秋山の元に戻った。
すぐに警察に連絡することを伝えようとしたが、逆に秋山がすぐに口を開いた。
「竜也さん。勇生さんが、連絡を欲しいとおっしゃっています」
「勇生くんが? 私は彼の番号を知らないけど……」
「私の携帯で、繋がります」
秋山は、勇生のスマホに電話を繋いだ後、竜也に手渡した。
数回のコール音が鳴り、勇生の声が聞こえて来た。
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