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第十五章・5

「明日の朝までには、朋が監禁されている場所を特定する」  決意に満ちた竜也の声に、秋山は自然と頭を下げていた。  やはり、この方は。 (来栖社長の、息子さんなんだ)  その判断の速さに、統率力。  正吾の若い頃に、そっくりだ。  では、と秋山はうなずいた。 「さっそく、警察に連絡いたします」 「お願いします」  そして竜也は、理紗の傍へ寄り添った。  彼女は、泣いていた。 「ごめん。ごめんね、竜也。私が、朋くんの傍を離れたから、こんなことに……」 「母さんのせいじゃないよ」  大丈夫、とその細い肩に手を置いた。 「朋は、絶対に取り返して見せるから」  そう、自分自身にも、強く言い聞かせていた。

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