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第十六章・4
「もしもし。秋山、何の用だよ?」
『私だよ、勇生』
「なーんだ。竜也か」
片手にスマホ、もう一方の手にクリスタルグラスを持ち、勇生は軽い返事をした。
傍のベッドには、手錠で縛めた朋を転がしている。
数名の男たちが見張っている中、朋は耳をそばだてた。
(竜也さん!?)
勇生は、竜也と会話を続けていた。
『今、朋のいるマンションの前に、いるよ』
「意外と、早かったな」
『話がしたい。セキュリティを、解いてくれ』
一瞬、勇生は考えた。
今この場面でならば当然、相続の話だろう。
(だが、一人で来たのか……?)
黙ってしまった彼に、竜也が畳みかけて来た。
『クルス・不動産の社長の件で、話し合いたい』
「……まあ、いいだろう」
いざとなれば、こちらには朋という人質がある。
油断した勇生は、ロックを解いた。
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