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第十八章・2
防弾チョッキの上からとはいえ、三発もの銃弾を受けた、竜也。
だが朋からの口づけが効いたのか、骨折などの異常は体に見られず、奇跡的な速さで回復した。
今ではクルス・不動産の新社長として、忙しい毎日を送っている。
強烈なショック体験を受け、PTSD(心的外傷後ストレス障害)を負ってしまった、朋。
彼は今でも通院し、投薬やカウンセリング治療を受けている。
ただ、可能な限り竜也が傍についているようにしているので、緩やかに回復しつつある。
正吾の初七日、四十九日も無事済ませ、一息ついている理紗。
彼女は、早く初盆と一回忌が終わらないかと指折り数えて待っている。
「喪が明けたら、竜也と朋くんの結婚式なんだから!」
十和子と勇生、そしてその配下の者たちは、瞬く間に逮捕、起訴されることとなった。
彼らは銃のみならず、末端価格にして40億円もの覚せい剤を隠し持っていたのだ。
当初は否認していたが、動かぬ証拠の数々の前には、無力だった。
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