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第十八章・4
料理を食べながら、デザートを味わいながら、お茶を楽しみながら、竜也と朋はいろんな話をした。
「竜也さん。ちゃんと、お仕事してますか?」
「大丈夫。秋山さんが、いろいろと助けてくれるから」
定時ぴったりでこうして朋の元へ帰れるのも、秋山のおかげだ。
彼が危惧したとおり、十和子と勇生のスキャンダルでクルス・不動産は一時マスコミから叩かれた。
取引先からの信用もがた落ちで、社員は皆、職を失うのではないか、と怯えた。
「だけど秋山さんが、いい具合に新社長の私を持ちあげてくれたからね」
「新しく生まれ変わった、クルス・不動産というわけですね」
「そういうこと」
竜也の笑顔は、変わらず優しいままだ。
だが、その優しさの中に、頼もしさが加わっていた。
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