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第十九章・2

 まどろむ朋の髪を撫でながら、竜也は話しかけた。 「明日、どこかに出かけようか。デート、しよう」 「嬉しい」  慌ただしい毎日でも、こうして竜也は朋を気遣った。  明るい話題を提供しながら、彼の心の回復を手助けする。  時折、そんな彼に朋は言う。 『竜也さん。嬉しいけど、無理してませんか?』  とんでもない、とその度に竜也は朋を抱きしめた。  これは、私の喜びでもあるのだから、と微笑んだ。  朋が嬉しければ、私も嬉しい。  朋が楽しければ、私も楽しいんだ。  そう言うと、朋も竜也の体に両腕を回した。  嬉しい、と言って喜ぶのだ。 (以前なら、つんと澄ましていたところだな)  お情けなんかいりません、とか言って。  寝落ちながら朋は、水族館に行きたい、とつぶやいた。 「水族館、か」  そこは、朋との初デートのスポットでもある。  懐かしさを感じながら、竜也もいつしか眠りに落ちた。

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