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第十九章・3

「すごかったですね、イルカのジャンプ!」 「大きな体で、あんなに高く跳ぶんだなぁ」  イルカショーを観終えた後も、朋はにこにこと笑顔だった。  二階の観覧席から階段を降り、一階のイルカ水槽へと移動する。  アクリル板越しに手を振ると、イルカは近寄って来てその鼻づらを朋に向けてくれた。 「ふふっ。可愛い」 「人懐っこいね」  無邪気な笑顔の朋の手を、竜也はそっと握った。 「朋」 「何ですか?」 「初めて出会った時はね、君のこと、ミステリアスだ、って思ってたんだ」  少し物憂げな、陰のある横顔も素敵だ。  そんな風にも、考えてたっけ。 「でも、今はね。その笑顔が、一番素敵だ。一番、魅力的だよ」 「竜也さん……」  少し頬を染めて照れた後、朋は口を開いた。

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