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1日目⑦

 世界中の高級店での食事も知る唐煜瑾(とう・いくきん)や、美しい見た目を裏切るような食欲魔人の羽小敏(う・しょうびん)が、納得するほどの上質なコース料理に大満足した。  特に、姉妹店が京都で有名な老舗すき焼き店であることから、この日のコースメニューに出された最上のシャトーブリアンのステーキには、全員が舌鼓を打ち、陶然となって、ぜひまた食べたいと口々に言った。  美味しい物をいただき、お酒も進み、大いに満足して、楚雷蒙(そ・らいもう)のお支払いで4人は店を出た。 「これから、ちょっと約束があってね。君たちはどうする?」  店の前には、楚雷蒙の秘書がドアの開いたタクシーの横に立っていた。有能で、多才な人種のミックスの美女だ。  アメリカ留学時代を知る包文維(ほう・ぶんい)は、彼女が楚雷蒙の亡くなった妻に似ているな、と思った。 「ごちそうさまでした」 「ボクたちは、散歩がてら歩いて帰ります」 「ありがとうございました、先輩」  3人に見送られて、楚雷蒙を乗せたタクシーは、レイモンド医療センターについての説明を日本の投資家にするために祇園へと消えていった。 「どうする?寝る前に、コーヒーか、軽くカクテルでも飲む?」  小敏の誘いに、煜瑾は迷わず文維の顔を見る。その視線の中に少しの好奇心を読み取った文維は、この辺りに詳しい従弟に向かって頷いた。 「この先に、すっごくレトロなでオシャレな、バーがあるんだ。昼間は本格コーヒーを出すカフェなんだけど。夜は地下が、オトナっぽいカクテルバーになる。雰囲気があって、煜瑾も気に入るんじゃないかな」  小敏の言葉に、文維と煜瑾も異存はなく、3人は来た時と同じく三条通りを戻り、河原町を少し南下した地下にある、老舗のカクテルバーに向かった。

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