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2日目⑥

 北大路(きたおおじ)通りにある、有名なフルーツパーラーが、今日のランチのお店だ。 「ふあ~」  煜瑾は目の前に並んだ美しいフルーツふんだんのメニューにうっとりとした。  今の季節のおススメは柿ということなので、柿のサンドイッチと、フルーツミックスサンドを注文した。そこに、これもまた季節の果物だという洋梨のパフェをシェアすることにする。他に煜瑾の大好きなイチゴを使ったベリーのパフェも追加した。  煜瑾と小敏はその上ミックスフルーツジュースまで頼み、文維はコーヒーをオーダーする。  色合いと言い、カットの美しさといい、美的な満足感に加え、さらに美味しいとまで小敏に言われて、煜瑾も期待にワクワクする。  ドキドキしながらタブレットで撮影をして、いよいよ実食することになった。 「どれから食べたらいいのか迷ってしまいます」  キラキラした瞳で文維と小敏の笑顔を代わるがわる見た煜瑾は、季節のサンドイッチを1つ取った。 「日本の柿はとっても美味しいですが、サンドイッチでいただくのは初めてです」  富豪で名門の唐家では、上海でも高価な日本の富有柿(ふゆがき)のお取り寄せくらいはしていて、煜瑾も食べたことはあるようだが、さすがに本場でのサンドイッチには期待を寄せる。 「んん~♪」  ひと口食べて、煜瑾は感動したように身を震わせた。 「とっても美味しいです!甘くて、柔らかくて、口当たりが滑らかで素晴らしいです」  頬を染め、印象的な黒瞳を輝かせた満足そうな煜瑾に、小敏と文維も嬉しくなった。  パフェのアイスが溶けないうちに、と楽しく分け合い、どれを食べても煜瑾を幸せにするメニューを3人は大いに堪能したのだった。 「日本の梨も甘くて美味しいよ。今ならジュースに出来るって」  お店の人からのアドバイスもあり、小食のはずの煜瑾もミックスジュースをすっかり飲み干し、梨のジュースを追加注文し、小敏はこれもまたこれからが旬だというリンゴジュースを頼んだ。  フルーツがメインとは言え、サンドイッチだけでなく、パフェやジュースのおかげで、3人はお腹いっぱいになり、幸福感に包まれてお店を後にした。

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