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4日目②

 昼食は、小敏が自信を持っておススメする、和風のアフタヌーンティーをランチの代わりとすることになっていた。 「こんなに近くのホテルで、珍しいものをいただけるのですね」  三十三間堂の隣にある大きな外資系ホテルに、煜瑾は感嘆した。 「事前に予約してあるから…」  すぐに席に案内されると、日本茶が出された。 「わあ~。ステキなメニューですね~。見た目にも美しくて、日本料理らしいです!」  大喜びの煜瑾に、小敏もニコニコしっぱなしだ。  洋風のアフタヌーンティーならサンドイッチなどの軽食にあたるセイボリーには、お寿司や茶碗蒸しなど日本らしいメニューが並ぶ。  スイーツはスコーンやタルトの他に、和風の葛餅が供されていた。 「こんなアフタヌーンティー、初めてです。とてもカワイイし、美味しいですね」  煜瑾が満足したのが分かって、小敏も嬉しい。 「午後からは、たくさん歩くことになると思うよ」 「これだけ美味しいものをいただいたら、頑張れます!  自信満々の煜瑾と顔を見合わせ、小敏も声を上げて笑った。  和風アフタヌーンティーの豪華なランチを終えた2人は、ホテルを出て、西に向かって歩き出した。川端通りまで来ると、2人は京阪電車に乗って、伏見稲荷駅へ向かった。  駅を出ると、思いの外、伏見稲荷大社は近かった。 「ここをずっと上って行くんだよ」 「山道なのですね」  煜瑾は気合いを入れて大きく頷き、小敏と手を繋いで、有名な千本鳥居を目指した。  赤い鳥居が連なる壮観な景色は有名な撮影スポットで、煜瑾たちが到着した時も、あちこちで観光客がポーズをとっていた。  煜瑾と小敏も景色だけでなく、互いを撮り合ったり、自撮りをしたり、たっぷりと楽しんだ。  ガイドブックや観光サイトには必ず掲載されているような景色を、実際に目の当たりにすることができた煜瑾は、こうして自分の足で歩き、自分の目で見ることの素晴らしさを、改めて噛み締めていた。

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