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4日目③

 伏見稲荷(ふしみいなり)駅からJRで京都駅まで5分ほどで到着する。  まだ明るいからと、周辺のデパートやショッピングモールを見学しつつ、小敏はオヤツ、煜瑾は日本製の文具、それとそれぞれ気に入った衣料品など2人が好きな物を購入した。  夕食までの時間、煜瑾と小敏は京都タワーに向かった。  ちょうど夕暮れ時で、タワーの展望台からはまだ京都市内が一望できた。  紅葉を見に行った貴船(きぶね)はあちらの方、金閣寺(きんかくじ)はそっち、銀閣寺(ぎんかくじ)はあっち、そして、さっきまでいた伏見稲荷はあの辺り…と、小敏が手を取るように丁寧に煜瑾に説明した。  それを感慨深そうに1つ1つ頷いて、煜瑾はそのままゆっくりと日が暮れるのを見ていた。  陽が落ち、灯りが点くと、上海などから比べると控え目な、それでいて整然とした夜景が浮かび上がる。  それを楽しんで、煜瑾と小敏は、京都タワーを下りた。 「さて、夕食は何がいいかな」 「もちろん、小敏のおススメでいいですよ」  無邪気な煜瑾の笑顔に満足しながら、小敏はよく承知しているといった顔で頷いた。 「じゃあ、美味しいものを、ちょっとずつ食べ歩くっていうのはどうかな?」 「えぇ?そんな楽しいことが出来るのですか?」  煜瑾はそう言って目を輝かし、好奇心いっぱいの様子で小敏の腕に甘えるように縋りついた。 「この下の階に、フードコートがあるんだ。フードコートだから、どの店の好きな物を食べてもいいし、その店でも食べられるんだって」 「そんな便利なお店、小敏はよく知っていますね」  無邪気な煜瑾に、小敏も少し照れ臭そうに笑った。 「全部、こっちの友達に聞いたんだ。留学時代の友達で、地元に帰った子も多いけど、京都出身や京都で就職した子もいるからね」 「小敏は、お友達が多いから…」  ちょっと羨ましそうな顔をした煜瑾に、小敏は「人タラシ」と呼ばれる、魅惑的な笑顔で迫った。 「でも、ボクの一番大事な親友は、キミだけだよ」  くすぐったそうな、それでも嬉しそうに煜瑾は微笑み、大きく頷いて、2人は仲良く、京都タワーの地下にあるフードコートへと向かった。  そこで小敏はお目当ての「和牛ユッケ」を食べ、煜瑾は憧れていた回転寿司のカウンターに初めて座った。 「食べすぎちゃダメだよ」  煜瑾からすれば、すでに食べ過ぎに見える小敏から言われながらも、素直に箸を置き、2人はカウンターから離れて、今度は焼餃子を目指した。 「あとで、スイーツも食べて帰ろう」 「は、はい…」  不安な煜瑾だったが、あまりにもキレイに飾られた、美味しそうなデザートに、気合を入れて挑むのだった。

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