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6日目②

 「京都府立陶板名画の庭」は、高名な建築家がデザインした、コンクリートのモダンな回廊庭園である。そこに、ほぼ原寸大の、見上げんばかりのミケランジェロの「最後の審判」など誰もが知っているような有名絵画を再現した陶板画が並んでいる。  今日は見事な秋晴れで、3人はゆっくりと回廊のスロープを下りながら、心地よい雰囲気を味わっていた。 「わ~、大きいですね~」  8メートルを超える「最後の審判」に迎えられ、煜瑾は感動して声を上げた。 「本物とほとんど同じ大きさだよ」 「そうですね」  小敏は、心酔した目で見つめる煜瑾の返事に、すでに唐兄弟はバチカンのシスティーナ礼拝堂で本物の「最後の審判」を見ているのだと気付いた。  その前で文維と煜瑾が並んだ姿を撮影し、堪能すると次の陶板画を目指して歩き出す。美術が好きな煜瑾はもちろん、文維や小敏も、小春日和の穏やかな空気に癒されて、回廊の散歩を楽しんでいた。 「あ、『清明上河図』もありますよ。本物よりも、拡大されていますね」  中華の画風を見つけて、煜瑾は駆け寄った。それは台北故宮博物院に所蔵されている風景画だった。  それを皮切りに、煜瑾は、モネやルノアールやゴッホなどの有名な絵画を、駆けるように見て回った。 「そんなに急がなくても、いいんだよ」  苦笑しながら小敏が言うと、煜瑾は少し恥ずかしそうに笑った。 「あまりに楽しいから、早く全部見たいのです」  そんな素直な煜瑾の言葉に、文維と小敏は思わず頬が緩んでしまう。 「は~楽しかったです」  子供のように無邪気に言った煜瑾に、文維も小敏も心が満たされ、大きく頷いた。 「さあ、次は隣にある植物園だよ。この植物園は日本で一番古いんだよ」 「紅葉が美しいでしょうね」  文維が優しく煜瑾に微笑み掛けると、煜瑾も幸せそうな笑顔を浮かべている。  北門から植物園に入園すると、そこにはハーブや季節の花で飾られた花壇がある。その可愛らしさに煜瑾だけでなく文維や小敏も楽しそうに笑っていた。

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