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第2話
ケイはオメガと分かったあとも、ベータとしての少年時代を続けることが出来た。
ケイはオメガらしさがあまりないオメガで、ベータとそれ程見た目的には差が少なかった。
確かに線は細く、身体付きも華奢だがどこかまろやかで、乳首は女の子のように発達していたし、何よりペニスの他にある、もう1つの性器でもある後孔はアナルとは異なる形状で、それを見られたならオメガと分かってしまうだろう。
でも。
裸になってチェックでもしない限り、ケイは中性的な男の子、で通った。
まだなんとか、中学、高校生まで位ならこういう男の子もいることはいるからだ。
でも。
フェロモンを感じないけれど、ケイが通っている中学の男子達は、ケイにやはり何かを感じてしまうみたいで、ケイはいつも一人ぼっちだった。
男の子達はケイが怖かったのだ。
何故だかケイかいると、ザワついてしまうこの感覚が。
同じ男なのに何故。
同じ男子であるはずのケイにだけ感じてしまうこの感情。
女の子達の方はケイが遠ざけた。
ケイは。
自分が子供を産むオメガだなんて認めたくなかったから、女の子達とは一緒にいたくなかったのだ。
裸になるような場面は避けなければならないから、体育等は身体が弱いという理由で休まなければならない。
大好きだったサッカーもできず、ケイはアルファからもオメガとしていることからも逃れることができたけれど、一人ぼっちだった。
男の子からも女の子からも、遠くから見つめられてはいても。
さらに言えない秘密、本当はオメガであることを抱えて、ケイは一人ぼっちだった。
手首のフェロモンを抑制するカプセルを手が悪いからとサポーターで隠して。
それでもケイは。
オメガでいるよりは、一人ぼっちのベータでいる方が良かった。
良かったのだ。
半年が過ぎた。
ケイは相変わらず一人ぼっちだった。
あれほど元気よかった少年は、今では物静かに本を読み、美術部で絵を描く。
身体が弱い上に、片手が悪いことになってるので、やれる部活が限られた結果の美術部だったが、やってみると面白かった。
美術部は女の子ばかりだったし、数少ない男子はケイを見ると真っ赤になって逃げてしまう。
だからケイは当然変わらず一人ぼっちだった。
ケイは絵を描く。
絵を描いている間は、オメガであることが忘れられた。
ケイは。
描くことで逃げることが出来ることに気付き、絵に夢中になった。
孤独も描いてたら消えた。
ケイはただひたすら描きはじめた。
それは救いになった。
さらに1年が過ぎて。
ケイはそいつと出会ったのだった。
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