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第12話

2人は高校生になった。 ケイを追ってキタノも美術科に来て。 変わらない日々。 キタノは可愛い後輩で ケイはキタノにだけはワガママな先輩で。 何も変わらない。 2人で絵を描き、そして絵を描いてない時も過ごす時間が増えたくらいだ。 でも、なにも変わらない。 ただ。 ケイはどうしてもしてしまう自慰の時、キタノの目を思い出しながらしてしまうのが止められなかった。 熱を孕んだ飢えた目。 キタノの大きなペニス。 キタノの匂い。 キタノの熱い視線。 それだけで穴が濡れた。 「キタノ、キタノ・・・」 名前を呼んでしまう、気持ち良すぎたら叫んでしまう。 そういう時は狂ったよつに自慰に夢中になり、中々止められない。 尖った乳首を摘んでまわし、穴をかき混ぜながら尻を振る。 「キタノ・・・やぁ・・・キタノ・・・ああっ・・・」 ヒクヒク痙攣するケイはもう、射精すらしなくなった。 中だけでイケるし、乳首だけでもイケる。 キタノを思ってする自慰の気持ち良さは、その罪悪感以上で。 どうしても、止められなかった。 キタノはあれから「好き」とは言わない。 でも。 2人きりで見下ろしてくる目の優しい甘さは、そう言っていたし、それが嬉しくもあった 自慰が良すぎて、オメガだとわかった時から診てくれている主治医に相談したら、オメガでもある主治医は「それはオメガであることとは関係ないね」と素で言われた。 体内のホルモンは埋め込まれたカプセルでコントロールされている。 だからケイの欲情はオメガの発情とは違い、単にケイがやらしいだけだと真顔で医師に言われた。 真っ赤になるケイ。 「好きな子がいるんだね。それは仕方ないね。その子がアルファだったら番になれば苦労はなくなるのにね」 医師は言った。 相手がアルファなのだとは言わなかった。 アルファのキタノは嫌だ。 怖いから。 キタノはアルファじゃない。 ないから。 「後2年でカプセルを取り出す。【どうなる】のかわからないよ?」 医師は言った。 そうだ。 20才になれば。 発情や妊娠、何よりフェロモン。 それらを食い止めてくれていたカプセルが取り出される。 もうケイはベータの真似は許されない。 そして、目指す美大にはアルファもいる。 アルファであることと、美術の才能は関連がないので、他の大学よりは少ないが、いないわけではない。 アルファはオメガを見間違うことはない。 そして。 ケイのフェロモンか出てしまうようなことがあれば、アルファはケイを遅ってくる。 だから。 オメガは20才までに番を作ることを推奨されるのだ。 それは自分の身の安全のためだ。 「・・・アルファが怖いのは分かるけど・・・。抑制剤はカプセル程絶対じゃないんだ。好きな子がベータなのは残念だけど・・・」 医師はアルファとのマッチングを匂わせた。 ケイは首を振る。 アルファは嫌だ。 絶対に。 医師はため息をついた。

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