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第4話

『あ~…も、ダメ…』 ベッドのうえで大の字になり眠りの沼にズブズブと落ちていく。 『…気持ちいい…』 体全体が心地いいマットにふんわりと支えられてどんどん力が抜け、そして…意識も遠のいていく…。 まさに『…スヤァ…』と眠りに落ちる瞬間、聞き覚えのある声が匂いとともに降ってきた。 「ほら、スーツ脱がすよ」 上から影が落ち、腰の辺りで金属音をがした。 「腰上げて…そう」 声の言うことを聞きつつ、 『…寝かせてくれ…』 と半ば夢心地の中で反抗してみたが、ずるずるとズボンが引き抜かれると下半身に纏わりつく窮屈なものが無くなった。 「次は上着か…。寝かせたままじゃ難しいな」 横たえた体を無理に起こされ、今度は背中越しに甘い匂いを感じた。 全力で力は抜けているのだが鼻をくすぐるのは大好きなあの匂い。 「ほら、そう。こっちに凭れて」 上着が取り除かれるとさらに体が自由になって眠いのにふわふわするほど体が軽い。 「次はネクタイ」 「んんッ…」シャツ越しに胸の突起に触れられて体がビクッと波打った。 痺れるような感覚に体がソワッとする。 「ここ…?」 「ンあッ…」 今度は鋭い刺激に無理やり意識が浮上した。 「…ここ…だよね?」 薄らと目を開くと、シャツの胸元で蠢く指。 『…あぁ…何で…』 「酔ってても感じちゃうの?」 指先がワイシャツを引っ掻く。 『…違う…そんな…』 「もう、こんなに硬くして…」 「あぁ…ん…」 羞恥心が失われつつある状態、且つ腰が浮くような気持ちよさと睡魔によって思わず出したことも無いような声が出た。 「ねぇ、胸、感じる?自分でしてるの?」 「…し…ない…」 「ふ~ん、でも気持ちいいんだ…」 そんな事ない、と言いかけて胸いっぱい甘い匂いを吸い込んだ薫は自分の体が変化している事に気づいてしまった。 「…な…んで…」 裾が捲れたシャツの下、閉じた脚の間で黒いボクサーが隆起していた。 「ねえ、もっと…してあげるよ?」 どうやら耳元で囁く男から甘い匂いがするようだ。 「しょう…ま…?」 呟いた言葉は肯定も否定もされずシャツのボタンは外されていった。 「綺麗…」 呟きが聞こえ後ろから直に胸を撫でられる。 「あ…!」 大好きな匂いに凭れながら胸をまさぐられ、薫は今までに経験したことの無い甘美な感覚に襲われた。

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