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第2話
突如と鳴り響く祭囃子 を合図に、男達は残りの酒を惜しげも無く飲み干すと、役割に徹するべく動き出す。
「祭りは終いだ! 白鬼 様が来るぞ!」
「白鬼 様の邪魔だ、帰った、帰った!」
至る所で響き渡る野太い声。号令に従い一同が帰り支度をしている最中、石段を登り終えた白鬼の面を着けた舞手 が暗闇より浮かび上がる。
この祭りの終わりを告げる、白鬼神楽 が始まるのを意味した。
地面に着きそうな白髪を棚引かせ、ゆっくりと境内 へと入ってくる。連想されるであろう鬼のイメージとは違い、荒々しさは微塵も無く一歩一歩進む姿は気品すら感じさせる。
神楽と言っても、舞手は白鬼のみでその舞を見た事がある者はいないーー厳密に言えば、白鬼の舞は見てはいけないものとなっている。
白鬼の宴を妨げてはならない。
昔この村に1匹の白鬼が現れ、神社の裏山に住み着いたと言う。それを境に女子供が次々と神隠しにあうようになり、白鬼を恐れた村人達は年に一度、宴と称し幼子を一人供物として捧げるようになったーーそれが白鬼神楽の始まりとされている。
その時、生贄 が逃げぬよう出入り口を見張っていたのは男達である。その習慣は今でも受け継がれており、何人たりとも境内への侵入は禁止されている。
時代も変わり、神楽として現在へと伝えられたれた今でも、何百年も前から守られてきたこの掟に従い、村人達は家路へと足を進めるのであった。
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