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第3話

「なぁ、今年の鬼ってヨリ(にい)じゃね?」 小ぶりのりんご飴をかじりながら、少年がポツリと問いかけた。 一緒にいた2人の少年は鼻で笑い、軽くあしらう様に言い放つ。 「知らねーよ。てか、誰も知らないだろ」 「それな~」 2人の少年が言う通り、白鬼の舞手は誰にも知らされる事はない。毎年変わるとは言われているが、指名する者も指名された者も他言は許されていない為、真偽の程は定かではない。 「だってさ? めっちゃデカかったじゃん。この村であんなデカいっつったら、ヨリ兄かお前らくらいじゃね? 絶対そうだな。」 得意げに向けられたりんご飴を、隣にいた少年が奪いとり大きな口を開けかぶりつく。半分ほど残っていた飴は割り箸だけになった。 「ーーっ! おい! …………500円な」 「…… お前が買ったのは小せーほうだろうが」 「利子だ! 利子! いつも人のもん取りやがって! ふざけんな!」 「ふざけてんのはお前だ、ヒナ」 他愛もない事で言い合いをするのはいつのも事で、その仲裁役も決まっていた。 一歩下がった所で暫く静観していた少年が2人にぴたりとくっつくと、背後から回された大きな手が肩を通り越し、2つの顔を鷲掴みする。 「は~いはぁい、うるせ~よ」

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