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第4話
中央に手繰 り寄せられた間抜けな顔を交互に見ると、吹き出し両手の力を緩めた。同時にヒナの肩を抱き寄せ、耳打ちする。
「なぁ、ヒナ? そんな気になるなら、見てこいよ」
人気のない田舎道では内緒話とは言え、嫌でも仲間外れにされたの少年にも伝わってしまうーー瞬間、肩に乗せられていた腕を振りほどいた。
「……適当言うんじゃねーよ」
「あ、聞こえちゃった?」
「……うるせー、さっさと帰んぞ」
「またまたぁ~。お前も気になってるくせに~。」
「別に……どうでもいいわ」
顔も見合わず、口論を始める二人を見かね、ヒナが二人の前に仁王立ちする。
「アキ! シュウ! やめろ! お前らがやり合うと止めらんねぇだろ!」
それもそのはず、勇ましく立ちはだかっているヒナの身長は二人の頭ひとつ分程低い。
決して小さすぎるという訳ではないが、ひと回りもふた回りも体格のいい二人を前にすると、どうしても心細く見えてしまう。
「ヒナも聞いたろ? アキはどっちでもいいって~。 ちょうどさ兄貴に頼まれたやつあるし、渡してきて?」
「どっちでもいいなんて言ってねぇ。頭湧いてんのか」
笑顔のシュウと真逆の表情を見せるアキ。
一触即発な雰囲気に、ヒナの表情にも緊張が走り、渡されたビニール袋を握り締めた。
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