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第12話

エンドロールの間も亮と手を繋いでた。 暫くして館内の照明が明るくなり眩しくなると慌てて僕は亮と握っていた手を離した。 「ごめん、聖也。めっちゃ感動しちゃってさ」 「いきなり手を繋ぐんだもん、びっくりしたじゃん」 僕が口を尖らせると、 「そろそろ行くか」 と亮が立ち上がった。 ...手汗かかなかったかな、大丈夫かな...。 「ちょっとトイレ行ってくる」 「ああ」 亮を待たせ、僕はトイレへ向かうとめっちゃ並んでた。 ....我慢してたから、早く~! ようやくスッキリしたものの、僕は繋いだ手を洗わないと決めてたのに... ど忘れし、洗ってしまい、しょぼくれながらハンカチで手を拭い亮の元に戻ると、亮からなにやら薄い袋を手渡された。 「...なに?」 「パンフ。俺も買っちった」 「....マジで」 え...ヤバい、めっちゃ嬉しい....。 握った手を洗えないな、と思っていたのに、うっかりトイレの後に洗ってしまって内心どんよりしてたのに、いや、どんよりしていたから尚更、嬉しくて飛び跳ねてしまいそう...! 「てか、DVD出たらさ、また観たいよな」 「えー?そうー?」 ...うん、観たい。 亮の手のひらの温かさに感動し、映画の後半は殆ど頭に入って来なかったから。 「うん。一緒に観ようぜ。俺の部屋でもいいし」 固まってしまった。 ...亮の家で!? 二人きり...だよね。 亮も僕も実家ではなく、互いに一人暮らしのアパートだけど、まだ行った事はない。 想像するだけで緊張しちゃうよ...。 「あ、今日さ、夕飯一緒したいけど、俺、バイトでさ」 「あ、そうなんだ」 ...強がってみせても寂しいな。 「駅まで一緒行こ、聖也」 「うん」 そうして僕たちは駅まで肩を並べ歩いた。

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