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第15話

夜の10時過ぎ。 僕はスマホを開いたまま、ベッドの中にいた。 暗闇の中でスマホの明かりだけが灯す部屋。 「...遠藤さんに相談しそこねたな....」 今日の事や色々話したかったのにな。 亮に送ったメッセージを眺めていた。 それから約10分後、不意にメッセージに既読が付き、思わず起き上がった。 『悪い、バイト中で気づくの遅れた。明日、大学だよ(*^^*)てか、お金はいいよ。俺が欲しかったし、聖也にも持ってて欲しくて勝手に買ったんだから』 読み終えると、途端に胸がきゅん、とした。 『明日、昼、一緒しよ、聖也』 慌てて、 「わかった」 と、返信を打ちながら、ああ、遠藤さんに報告したいな、と思った。 報告する事でもなんでもないのに。 だけど、なんとなく遠藤さんなら、自分の事のように喜んでくれる気がして....。 遠藤さん、てどんな人なんだろう....。 落ち着いた話し方とかから、なんとなく20代半ばか後半くらいかな....。 そこまで考えて、僕は被りを振った。 「僕には亮がいるのに。寝よう、きっと疲れてるんだ、うん」 今日は昨夜、今日のデートを意識してしまってあまり寝付けなくて、何を着ようかと凄く悩んだし、何より遠藤さんの作戦通り、亮の手を握れるかな、て不安と心配で、そして、胸も高まって...。 遠藤さんに無事に亮の手を握れた、て教えたいな...。 暗所と閉所恐怖症、少しは良くなったかな。 中学のあの時。 掃除用具入れに閉じ込められ、本当は凄く怖くて心細くて...。 クラスメイトがこっそり開けてくれたんだよな。 ....名前が思い出せないけど、凄く太ってて、いつも弄られてたけど、笑顔が耐えない明るい生徒だったのは覚えてる。 ....なんだかんだ、今も昔も誰かに助けられ、生きてる。 感謝しないとな、と僕は重たい瞼を閉じた。

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