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亮side
亮side.
最近、何故か聖也に避けられ続けてる。
「何か気に触ること言ったのかな」
大学からバイトに向かうまでコンビニに寄り、夕飯のカップ麺やおにぎり、パンを購入し、ビニール袋をぶら下げてビルへと入る。
「お疲れ様でーす」
「お疲れ、一ノ瀬」
「お疲れ様です」
自分のデスクに座り、顧客名簿の管理やら。
にしても、聖也はこのなんでも相談室にも掛けて来ない。
「大丈夫なんだろうか...」
もしや、俺、振られた?
がくん、と頭を項垂れ、慌てて首を振り、思考を投げ捨てる。
バイト中に落ち込んでもいられん。
「遠藤さん、イキリうさぎさんからお電話です、内線2番」
思わず顔を上げ目を見開いた。
慌てて内線2を押し、受話器を取った。
「イキリうさぎさん、お久しぶりですね、体調を悪くされたのかなと心配してました」
しばらく、電話の向かうの聖也ことイキリうさぎは無言。
「....遠藤さん、僕、好きな人が出来て」
「....好きな人、ですか?」
やっぱりこれ、俺、振られたパティーン?
「あの、その、大学の友達に相談したら、亮、いや、彼氏に直接話せないんなら、遠藤さんに話せばいいじゃん、て言われて...その、相談室なんだから、て....」
「え、ああ、まあそうですね...」
彼氏が他の誰かを好きだとか、相談聞くの辛いけど、これもバイトだ...。
泣きそう。
「今の彼氏さんに不満があるとか、ですか...?」
自分で聞いちゃうとか、マジ辛い...。
「いえ!」
俺の脳裏にスウェット姿に瓶底メガネ、正座した聖也がぶんぶん首を横に振る姿が浮かんでくる。
「亮、彼氏に不満なんてありません!これっぽっちも!ただ...」
「....ただ?」
また間隔を置き、聖也が口火を切った。
「ただ、他にも気になる人が...出来てしまって...」
な、な、なんだとー!?
なるべくいつも一緒にいた筈だし、電話やメッセで話せない、本来の聖也とも、こうして相談室で時間を割いてきたつもりだったのに...
何処の泥棒猫を俺は見逃したんだ....。
「遠藤さん....」
「はい?」
「あなたです」
「....何がですか?」
また間隔を置き、聖也から出た言葉に唖然となる。
「僕が気になるのは...遠藤さん、あなたです」
俺ですか!?
驚愕と共に思わず口を覆った。
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