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第63話 たまらない
彼の指は、長くて、少し関節のところが太くて、骨っぽいのがセクシーだなぁって思った。爪の形が縦長で、キレイなサーモンピンク色しててさ。こんなところまでスタイルいんだなぁって、そう思いながら、見てた。
ライフゲームを一緒にやったでしょ?
「っ……」
あの時、ルーレット回す時、とかさ。
指、男っぽくて、色気あるなぁなんて。
「ん、っ……ふぁっ」
そう思った指に中を撫でられて、切なげな声が溢れて止まらない。
「や、あ、あ、ぁ」
指、長い。
「聡衣」
「やぁっ……ん」
その指に中を柔らかくしてもらってる。四つん這いで、腰だけ高く突き出すようにしながら、まるで猫が交尾をねだるみたいに。
初めてでもないのに。
旭輝だから、かな。
「っ」
すっごくすっごく恥ずかしくて、真っ赤になってるだろう顔を隠すように、顔が少しでも隠れるようにと口元で余った袖を握り締めた。気恥ずかしさに溶けて蒸発しちゃいそうな身体をくねらせてる。
「っ、あっ」
指に蕩けてる。
「っ……旭輝っ」
そして、蕩けた身体に、背後から覆いかぶさった旭輝が歯を立てるの。それがすごく気持ちが良くて。
たまらなくて。
「? 痛いか?」
「ぅ、うう、ン、へ……き」
痛くなんてない。
「へ……き、じゃない、けど」
平気だけど、平気じゃない。
ね、指を咥えたそこがキュキュって。すごいの。
「気持ち、良過ぎて……む、り」
「……」
そっと、後ろに手を伸ばした。
「あっ……ン」
旭輝の指に触れてから、自分のそこも撫でる。たくさん拡がってるそこをなぞって、ローションでびしょ濡れの旭輝の手を撫でて、小さな子どもみたいに彼の親指をぎゅっと握り締めた。
「指、で、イっちゃいそ、なくらい」
「……」
「気持ち、ぃ、から」
この長い指にたくさん解されて、トロトロで、旭輝の手をこんなにびしょ濡れにして柔らかくしてもらえた中はもうたっぷり濡れてる、から。
だから――。
「も、へ……き」
「……」
「ここ……に」
そう囁いて、今、旭輝の指を咥えてるそこを自分の指で拡げてみせて。
それから、手を繋いで、引き寄せた。四つん這いになっていた体勢を自分で変えて、向かい合わせになって、見つめて、見上げる。
長い指に指を絡めて、その掌を引き寄せ、自分の胸に押し付けて。
「……して」
脚を恐る恐る、開いて、ねだった。
「……聡衣」
顔なんて見られるわけなくて、俯いて、小さく、もしかしたら聞き取れないかもしれないくらい小さく呟く。
「ン」
そんな俺を覗き込むように背中を丸めた旭輝が深いキスをくれる。
「すげぇ、好き」
ホント? 俺のこと、好き?
「ぁ……旭、輝、ん、あっ」
膝を割り開かれて、旭輝の引き締まった身体が割り込んでくる。ただそれだけで、頬は更に、笑っちゃうくらいに真っ赤になってる。
「聡衣」
そんな真っ赤な頬にもキスをして、そして、そのまま――。
「っ…………ぁ……ン」
ゆっくりと抉じ開けられてく。
「んっ……ン」
ゆっくり、ゆっくり。
「ん……」
太くて、硬くて。
「……っ」
「聡衣」
めいっぱい広げられていく。
息、詰まりそう。
「ひゃ、あっ」
背中を丸めた旭輝が覆いかぶさって、頬に、首筋に、キスをくれた。
「息、しろ」
知ってる、よ。だって、初めてじゃないもん。セックスなんて、初めてじゃない。
「っ……ン」
けれど、それを言うのはかなわなかった。もっと奥まで、ずぶりって抉じ開けられて。
「あ、あ、あっ」
もっと、奥へ。
「やぁっ……ん」
奥へ。
「っ、聡衣っ」
「ん、ごめっ……待って」
「あぁ」
呼吸が乱れるくらいに、身体が旭輝でいっぱいになってる。
旭輝の、で、ここ、全部埋まってる。
「聡、力、抜け」
「ごめ、旭輝、きつい、よね。久しぶり、すぎてっ、それに」
きゅぅって、なってるの。旭輝の大きいのに根本まで中がしゃぶりついて。
身体が、奥も、全部、きゅぅって、旭輝にしがみついてる。
「すご、嬉し、くて」
「……」
「……ここ」
旭輝の、硬くて、熱くて、それがたまらなく嬉しい。
「ん、ンンンッ!」
「っ」
「あ、あ、待っ、や、ぁっ……ン」
「痛いか?」
「ちが、くてっ、気持ち、い、すぎる、から」
ゆっくりと、でも、力強く中を突き上げられて、奥まで旭輝の指に濡らして柔らかくほぐしてもらえた身体は気持ち良さそうに震えた。
「ふぅ……ン、ん、ん」
「聡衣」
気持ちい。
ど、しよ
すごく、気持ちぃ。
こんなの困る、よ。
「聡衣? 手、どかしていいか?」
「や、だめ」
口元をずっと押さえてた。
その手にそっと旭輝の手が触れて、指先がわずかに力を込めたから、慌てて手をどかされないように、ぎゅっと身構えた。
「ダメ」
「……」
「声、出ちゃうの、我慢できない、から」
「……」
「俺、男、だもん。声」
低い声。これはどうしようもないでしょ?
だから、できてないけど、ちっとも堪えられてないけど、少しでも、せめてとか、色々考えながら、手で口元を押さえてた。
「……バカ」
「!」
バカ、だもん。どうせ、バカだよ。怖がりなくせに。
怖がりだから、傷つくのイヤだからノンケはどんなに好みでも絶対にスルーしてきたくせに。
「聡衣の声、聞きたい」
「……」
「すげぇ、色っぽい」
「あ、やぁ……」
喉仏にキスをされて、甘い溜め息がふわりと唇から溢れる。
「そのまま、声」
「あ、あ、あ、ン」
「出せよ。聡衣」
「やぁ……ん、あ、ン」
手で押さえられないように手を繋いで、腰を打ち付けられたら、もう我慢なんてできそうになかった。それに、ね? 旭輝が、俺をじっと見つめる視線がすごく熱っぽくて、ドキドキした。
「旭輝……は?」
「?」
まるで、俺に夢中、みたいな、そんな視線。
俺しか見てない、の。
俺の仕草、表情、それを食い入るように見つめられてる。
あと……自惚れ、じゃないよ。
だって、声、あげると、旭輝の……熱い。硬くて、中で、ビクって、してくれる。
「あ、あ、旭輝、は、俺の中、気持ち、ぃ?」
「あぁ」
よかった。
「やぁっ」
クンって奥を突かれて、背中が反りかえる。旭輝を咥えた蕩けた孔がキュッと口を窄めて、旭輝のにしゃぶりつく。
「あ、あ、あ、あ、待っ、て」
セックスは、好きだよ。
気持ち良くて、好き。
「聡衣?」
「あんま、気持ち良く、しないで」
「……」
初めてじゃないよ。セックスなら、したこと、あるのに。
「こんな、の、気持ち良すぎて、こわい」
こんなセックスは知らない、もん。
「あっ……やぁ、ン……ダメっ、気持ち、ぃ……ってば」
「っ」
「やぁ……あ、あ、あ、ンっ……ン、そこ、や、ダメ……あ……ン」
こんなにセックスが嬉しくて、たまらない、のなんて、初めてで。
「だから、それ、無自覚に煽るな」
「知らないってばっ、あ、あ、あ、あ、ダメ、ダメ、イッちゃう」
怖くてしがみついた。
「やぁ、ん、そこ、突いちゃ、やっ……イク」
「あぁ」
しがみつくと、抱き締められてそのまま抱え上げられる。
「あぁ……っン」
抱え上げられながら何度も何度も下から突き上げられて、ただ旭輝に抱きついて離れられなくなる。気持ち良くて、もう。
「あ、あ、あ、旭輝っ、旭輝っ」
「あぁ」
彼に強く抱き締められて夢みたい。
「あ、イクっ……旭輝っ、イク」
彼とセックスできて、気持ち良くてたまらない。
「イ、ク」
彼とキスできて、嬉しくて仕方ない。
「ン……」
そして、ただ――。
「好き」
彼が好きで、たまらない。
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