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新年の挨拶、今度は編 14 愛情溢れる

 セックス、したくてたまんない。  だから抱っこなんてして俺のことを運ぶ旭輝の邪魔にならないようにじっとその腕に抱えられた。  エアコンをつけたばかりでまだ冷えているリビングにコートだけ置いてけぼりにして、俺たちはベッドのある寝室に移動すると、早く早くって、気持ちに、熱にせっつかれるように深いキスをする。  まだ、足、床についてない。  抱っこされたまま、下から齧り付くようにキスをされてる。 「旭輝」  抱っこ、はあんま好きじゃない。  重いじゃん。  男にしては華奢かもしれないけど、そこまで女の人みたいに細いわけじゃないからさ。  それになんかそこまで甘やかされるの好きじゃない。一人になったら寂しいってなるから。一人にいつかはなるから、できるだけ「依存」も「寄りかかる」も、何もしたくない。  そう思ってた。  いつだって、どこかで一人になる準備は万端にしてた。 「ン……っ、あっ」  けど、旭輝は。  やばいよね。  離れられなくなったらどうすんの? ねぇ。  なんて心配もしなくなっちゃった。  俺の奥まで全部旭輝ので可愛がられたい。甘やかして、いじめてよ。奥まで、全部、たくさんして? 「旭輝」  セックスしたくてたまらないのに、どこまでも優しくてあったかい気持ちになる。  真冬の寒い夜に手を繋げた時のホッとした感じ。  朝、きっと誰も見たことがないだろう旭輝の寝癖を見つけた時の感じ。  春に二人でピクニックして、桜を見る時のワクワクした感じ。  夏の、朝方、清々しい時間に旭輝の寝顔を見つけて、ラッキーって、早起きしてよかったって嬉しくなる感じ。  秋にご馳走を二人で食べて、お腹いっぱいすぎて笑っちゃう感じ。  そんなのに似た優しくて、指先まであったまるような気持ちが溢れてる。 「聡衣」 「あ、ン」  あ、ほら、すごいあったかい。  すごい好き。 「なに、笑ってんだ。このタイミングで」 「んー、だって」  ベッドで、これからずっと「待て」されてたセックスをしようとしてるのに、笑っちゃってる俺に、ちょっとだけ旭輝がムッとしてる。  そのムッとしてる、愛しい人をギュッと閉じ込めるようにきつく頭を抱きしめて、そっと。 「すごい好きって思っただけ」 「……」  そう、小さく囁いた。  だってさ、いっつもセックスってさ、やらしくて、やましい気持ちになるじゃん。やらしいことするんだし。やましく……はないけど、でも、いけないことっていうか、他人には見せない自分を晒すでしょ?  けど、今、ここに溢れてるのって、愛情だ。  このセックスは、愛情がたくさんここにあって、それを繋げてくっつけて、結ぶ感じだ。 「ね、もっと、乳首、して?」  やらしくて、やましくて、いかがわしくて。 「あ、やっ……乳首噛んでっ」  けど、世界で一番、あったかい行為。 「ひゃあ、ぅっ」  このセックスは愛情がたっぷりな感じ。 「あっ」  このセックスで満たされてくのは、欲望じゃなくて、愛情って感じ。 「あ、ンっ……あ、あ、あ、やば、いっ、気持ち、い」  乳首を優しく唇で挟まれると、切なくて、下腹部の辺りが意識、してる。 「聡衣」 「っ、あ……」  旭輝のこと、欲しいなぁって。  ほら、この熱いの。 「聡、」 「口で、する」  そっと下へ手を伸ばして、熱くなってるのを撫でた。手のひらで先端を撫でてから、硬くなって反り返ってるそれを指先でなぞるように沿わせると、整った顔がギュッとしかめっ面をしてくれる。その唇にキスをしてから、前屈みになって、パンツと下着を一緒におろした。 「ン」  飛び出たそれに鼻先をくっつけてから、パクりと咥えて。 「ン」  ねぇ、たくさんキスして、たくさん、旭輝のしゃぶってあげる。とろけちゃうくらいにたっくさん唇で、舌で、喉のできるだけ奥で旭輝の、たくさん気持ち良くしてあげる。  今までで一番やらしくて、気持ちいいフェラ、してあげる。 「っ、聡衣」  舐めてるのは俺なのに。  咥えて、キスしてあげてるのは俺なのに。  あげてるほうが気持ちよくしてもらっちゃってる。  このままずっとフェラしてるだけでも満たされちゃいそう。  それがくすぐったくて、笑いながら、旭輝の足の間で正座をして、整った、けど、きゅっと結んでる旭輝の唇に触れるだけのキスをした。悪戯みたいな、子どもっぽいそのキスに、旭輝は二回、瞼をパチパチと瞬かせて、俺をじっと見つめてる。  やらしい誘惑の言葉の代わりに、可愛いキスでおねだりをした。 「あっ……ン」  指が答えてくれる。 「あぁっ……旭輝っ」 「狭い」 「ン、だって、ずっとしてない、でしょ」  ずっと、旭輝の実家に行った時の準備と予行練習してたからさ。  集中できないじゃん? 抱いてもらってる時、挨拶ちゃんとできるかな、とか、俺、旭輝のご両親に会うんだ、とか、ちゃんと受け入れてもらえるかあ、とかさ。気になっちゃって、セックスに蕩けてられなそうだったんだもん。 「ありがと」 「……」  お預け、させてくれて。  待て、してくれて。 「だから、今日は、いっぱいして」  旭輝の家族に会わせてくれて。 「あっ」 「そんなこと言って、あとでギブアップするなよ」 「あっ、あ、あ、待」  旭輝の家族の一員にさせてくれて。 「待たない。というより、クリスマスからずっと待ってたのは俺の方だろ」 「あ、あぁぁぁっ」  深く、奥まで、優しいけれどしっかりと強く抉じ開けられて、イった。 「あ、やっ……」  挿れられただけでイっちゃったじゃん。 「聡衣」 「? あ、あ、今、動いたらっ」 「愛してる」  ねぇ、だから、俺、今日、何回イかされちゃうわけ?  ねぇ、今。 「聡衣」  もうすでに愛情がたっぷりすぎて、溢れっちゃってるんだけど。 「あ、あ……ン、も」  溢れて、止まらなくて、愛しくてたまらないパートナーの背中に爪を立てながらしがみついた。  一生離さないって、きつくしがみついた。
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