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第2話

「お、お邪魔しまーす...」 陽平くんが子供を連れてよそよそしく挨拶をし、1LDKの玄関先で足を止めた。 「リビングでテレビでも見ていてください」 俺はそう唆し、ジャケットを脱ぐとエプロンを付けて腕まくりし、キッチンに立った。 「アニメが見たい!」 きゃっきゃと理一のはしゃぐ声と 「こら、おとなしくしなさい、理一」 と咎める陽平くんの声がする。 そうして、3人分のオムライス、コンソメスープ、ツナサラダが出来上がった。 「理一、描いてみるか?」 理一にケチャップを差し出すと、うん!と覇気のある元気な声の後、真剣な眼差しで両手を使いケチャップを捻り、オムライスになにやら描いている。 「顔か?良く描けてるな」 理一の頭を撫でると嬉しそうに微笑み、 「これは僕。これはパパでね!こっちはママ!」 可愛らしい笑顔だが...ママ、は俺なのだろうか。 少々、複雑だが、三人で、 「いただきます」 と手を合わせ、夕飯になった。 「ほら、口、ついてるよ、ケチャップ」 もぐもぐ不器用にスプーンを使い夢中で食べる理一の口の周りはケチャップまみれ。 陽平くんにティッシュを渡すと口の周りを拭いていた。 どうやら、陽平くんはシングルファザーらしい。 理由は俺から尋ねるのも、もし死別なら...と思い、尋ねないでいたが、離婚したとの事。 陽平くんと話しながら何気に理一を見ると、コンソメスープに入っている人参を気づかれないと思っているのか見事に残している。 「理一、人参、嫌いなのか?」 「うん!嫌い!」 「好き嫌いは良くないぞ、おっきくならないし、それにモテないぞ?それでもいいのか?理一」 はた、とスプーンを止め、丸い目を向けてきた。 「おっきくなるもん!でもモテない、て本当に?」 「ああ、好き嫌いするような男の子はモテないな。理一は好きな子はいるのか?」 理一が輝くような笑顔を見せた。 「いる!しろくま組のれいなちゃん!」 「よし、じゃ、今かられいなちゃんに電話しよう、理一が人参が食べれない、て教えよう」 理一が焦りだした。 「いやだいやだ!知らせちゃいやだ!」 「だったら残さず食べような?理一」 理一を見つめにっこり微笑む。 「....わかった」 渋々、肩を落としながら、不味い、と言いつつ、理一が人参に齧りついた。

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