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第4話

律儀な性格だなあ、と思う。 『今度の日曜日、お暇ですか?仕事が休みなので、先日のお礼をさせて頂きたいのですが』 翌日にはそう陽平くんからメッセージが来た。 夕飯中や夕飯後のひと時でわかったが、陽平くんのアパートは電車で二つ先、保育園が俺のマンションの町内らしい。 仕事が終わり、理一を保育園に迎えに行き、近くの公園で少し遊びたい、というので公園にいたところ、一目散に理一が走っていき、慌てて追ったら理一が俺にしがみついて泣いてた、て事らしい。 そんな俺は二人と知り合った翌日、帰宅する前に勤務先から電車一つ先にあるモールで、理一と約束していた、おもちゃ選びに向かっていた。 その種類の豊富さに胸が高鳴る。童心に帰る、てこんな感じかな。 まず、有名なリゴを手に取った。 ブロックを組み立て、創作意欲や想像力を養う、みたいなコンセプトらしいが。 しっかし、一万超えのすげーのもあるんだな。 手頃な金額のを1つ、籠に入れて、また歩き出す。 スーツ姿でおもちゃ売り場を徘徊してるアラサー男、て傍から見たらどんな感じなんだろ。 ふと、周りを見ると、家族連れや、父親におもちゃをねだっている小学生らしき男の子の姿もある。 そして、不意に目に飛び込んだのは、子供の頃に欲しかった、電車のレールに本物そっくりな列車が走る、アレだ。 欲しかったんだよな!子供の頃! うち、3兄弟で、二つ上の兄や三つ下の妹は興味示さないし、結局、買って貰えなかった。高いし場所取るし、て。 ...今の俺なら、自分で買える!大人買い? 大人も一緒に遊べる、て、アリだよな。 これもゲット!と籠に入れて、次に俺の目を奪ったのは、人生ゲーム! 小学生の頃、友達んちで良くやったんだ! めっちゃ、ハマったんだよなあ。 ...二歳児に、人生の何たるかを教えるのは少々、早すぎるか? 暫し天井を見つめ考えたが、まぁ遅かれ早かれ、いずれは人生は学ぶんだし、理一の反応も面白そうだしな。 実際は俺がやりたいだけだが。 そうして、人生ゲームも籠に入れてレジを探した。

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